2020年6月4日木曜日

羽音ひとつで大航海


オオスズメバチの羽音は、怖い。


他の虫とはひと味違う、あの重低音。


あれは、


『え、べつに、いつでもやってやんよ?』


っていう、宣戦布告に思えてならない。


なんなら、不意を討って

こちらを襲ってきそうで、とにかく怖いのだ。




もしも前世があったなら、私は一度、スズメバチに襲われて死んでいるんじゃないだろうか?

そう思わずにはいられないほど、小さい頃から虫の羽音に敏感に反応していた。

都会育ちも相まって、その過剰反応を克服する機会もないままで大人になった。

そして、大人になってから、自らの意志で山の中で暮らし始めたのだ。

人間って、不思議だ。

私にとっては、右にお台場、左にディズニーランドという景色が“故郷の景色”なはずなのに。

大人になって、恋しさが募るのは

何も考えずに山や緑を見つめ、土を耕し、海を眺める生活だったのだ。

きっと、故郷ってものは、この世で生きた数年なんかより

もっと回数を重ねて私の魂の深いところに刻まれているものなのかもしれない、と思う。


そういえば、以前“守護霊を絵に描く”というセッションを受けたことがある。

知り合いの助産師さんは、羽のついた可愛い赤ちゃんに囲まれていたり

背後に宇宙の渦巻くエネルギーを背負った未来型の男性がついている、なんていうパワフルな人もいて、

一体私の背後にはどんな風景が描かれるのか、と

とてもワクワクしながら向かった。

私の守護霊って、男性なのか女性なのか。

大人じゃなくて、子供って可能性もあるのか〜。。なんて期待してセッションを受けた。

さっそく、順番になり、絵描き(?)の方の前に座った。

私を視ているようで、私の瞳の奥を視ているような不思議な時間。

サラサラ〜っと書き終え、色紙を受け取ると、

私は驚くしかなかった。


『・・・え?人間じゃないの?』


そう、私の守護霊は“自然”だったのだ。

木や山、草原、風。

私の守護霊は、自然そのものだった。

そう考えると、私の今の暮らしはとても心強い。

四方八方を山に囲まれ、家の隣に川まで流れている。

守護霊にみっちり守られているから、天然SECOMだ。

たしかに、夜旦那が不在の時に

「今、この家に泥棒が入ってきたらどうしよう・・・」

っと、急に猛烈な不安に襲われることがあるのだが、

そんな時は必ず、静かな夜の庭からささやくようにかすかに聴こえる

竹の優しいサラサラ〜っという葉の音が


『大丈夫だよ』


っと、言ってくれているような気がして、

いつの間にかに熟睡しているのだ。